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APC RSシリーズ 自動電圧調整(AVR)機能について

APC RSシリーズの自動電圧調整(AVR)機能についての説明です。
* 以降、自動電圧調整(AVR)機能は、AVR機能と記載します。


【対象製品】
APC RSシリーズ

BR400S-JP, BR550S-JP, BR1000S-JP, BR1200S-JP
BR400G-JP, BR550G-JP, BR1000G-JP, BR1200G-JP (APC RS Gシリーズはサポートを終了させていただきました)



1. 概要
APC RSシリーズの標準機能の一つにAVR機能があります。
本機能は、UPSの入力電源の電圧が本体設定のしきい値より低くなった、高くなった、乱れた場合に作動し、
入力電圧が100Vに近づくと解除されます。
本機能により、電圧設定のしきい値内である場合にUPSはバッテリー運転に切り替わることなく
100Vに近づくよう出力電圧を補正し、負荷機器へ電力を供給します。


● LCD(液晶ディスプレイ)のマーク
AVR機能作動中は、左下に ”AVR” という文字が表示されます。
警告音はありません。

01 02
図: AVRアイコン表示箇所                      図: AVRアイコン


2. AVR 機能の種類
自動電圧調整(AVR)機能には、AVRトリム(AVR Trim) および AVRブースト(AVR Boost) があります。
AVRトリム, AVRブーストともにバッテリー運転に切り替わることなく(バッテリーを消耗せずに) 作動します。


AVRトリム (AVR Trim) :
AVR03

UPSの入力電源電圧が高い場合にAVRトリムが作動し、回路で電圧補正をして電圧を下げて供給します。

(作動)
商用電源からUPSへの入力電圧が 約AC110V~AC123V *1 になった場合にAVRトリムが作動し、
UPSの出力電圧を 約11% 下降させ、100Vに近い電圧で接続機器へ電源を供給します。
入力電源側の電圧がしきい値を瞬間でも上回った場合には、この機能が作動します。
(解除)
戻り値を下回ると機能を解除します。

*1 初期設定時の電圧しきい値です



● AVRブースト (AVR Boost) :
AVR04

UPSの入力電源電圧が低い場合にAVRブーストが作動し、回路で電圧補正をして電圧を上げて供給します。

(作動)
商用電源からUPSへの入力電圧が AC90V~AC82V *2 になった場合にAVRブーストが作動し、
UPSの出力電圧を 約13% 上昇させ、100Vに近い電圧で接続機器へ電源を供給します。
入力電源側の電圧がしきい値を下回った場合にこの機能が作動し、戻り値を上回ると機能を解除します。
(解除)
商用電源電圧が低い環境下において本機能が有効になります。

*2 初期設定時の電圧しきい値です。



● AVR作動音について
AVR機能はリレーの切り替えで作動および解除を制御しているため、作動, 解除の頻度が高い場合には
UPS本体内部でカチッと切替え音がします。
もしも頻繁にカチッと音がする場合には、4.予防処置 をご確認ください。



3. 機器への影響について
AVR機能作動時は、UPSから100Vに近い電圧に調整して負荷機器へ電源供給しており正常動作中です。
また、長時間AVR機能が作動し続けることもUPSの寿命等に影響するものではなく問題はありません。

ただし、まれにご使用いただいている環境により、その電源電圧の乱れにより
AVRトリム もしくは AVRブーストが短時間に作動と解除を繰り返す場合がございます。
UPS内部より、頻繁にカチカチと切替え音がする場合には、AVRが都度作動していることが考えられます。

(注意) エラーコード F06
一日に何度も作動, 解除を繰り返すご使用環境においては、UPSの本体故障につながります。
AVRが頻繁に作動にすることでUPSに不具合が発生するとエラーコード F06で停止します。
再起動で、起動する場合には、AVR機能の作動頻度を低減する必要があり、4.予防処置 をご確認ください。
くりかえし再起動してもF06が表示される場合にはUPSが故障しています。


4. 予防処置

4-1.  原因の排除
・ AVR ブーストの軽減
AVRブーストはUPSの入力電源電圧が90Vを下回った場合に作動します。

通常100Vに対して、コンセントまで来ている電源が頻繁に90Vを下回ることは少なく、
・ UPSと同じコンセントに複合機やレーザープリンターがつながっている
・ OAタップからUPSの入力電源をとっており、合計の消費電力が15A近い、超えるような使い方をされている
・ UPSのサージ保護のみコンセントに消費電力の大きい機器をつないでいる
例になりますが、上記のようなご使用環境では、なにか機器の動作のたびに供給電力不足のために
UPSが取得している入力電源において90Vを下回る電圧降下が発生し、
AVRブースト機能が作動 もしくは バッテリー運転に切り替わっていることが考えられます。
切り替え回数が多いほど、本来期待する寿命より早くUPSが故障する原因になります。

特に、レーザプリンター、複合機など始動時に大きな電流を必要とする機器の入力は、その機器の取り扱い説明書に
単一電源で取るように注意書きが記載されております。
UPSと始動時の消費電力が大きい機器は、それぞれ別の電源から取るように入力電源のコンセントを変えて、
AVRブースト機能の作動, バッテリー運転に切り替わらないようにしてください。


・ AVRトリムの軽減
AVRトリムはUPSの入力電源電圧が110Vを超えた場合に作動します。

多少電圧が高くても多くの機器に影響はありません。
また、施設によっては100Vより高めに設定されている場合もございます。
AVRトリムが作動したままの状態であれば、UPSの負担もなく問題ございませんが、
AVRトリムの作動頻度を減らしたい場合には、電圧しきい値を高めに設定するなど、
ご使用環境の電圧変動の幅にあわせて調整してください。




4-2.  感度設定による頻度軽減

根本原因の排除として、上記 4-1.  原因の排除 を確認, 実施してください。
ここで原因がはっきりせず、対処できない場合には、感度設定の変更をしてください。
UPSは、ご使用環境にあわせて感度を設定できます。
感度を下げることにより、過敏に反応している場合には、切り替え頻度の軽減が期待できます。
なお、感度を下げることにより、停電検知などの際のバッテリー運転切り替え時の時間が若干長くなります。
*参考:  停電時切り替え時間:  (通常) 6ms / (最大) 10ms


[感度設定 変更手順]
以下動画 もしくは テキストの設定方法をご参考に変更をおこなってください。

・ [動画] Video : APC RSシリーズ UPS前面パネルより電圧感度を変更する方法
・ [テキスト] APC RSシリーズ 本体操作での感度, バッテリー運転切替値変更方法

なお、感度設定の変更をおこなったのちもAVR機能が頻繁に作動, 解除する場合には
入力電源が不安定になる原因を取り除く必要が出てくる場合がございます。


RS_AVR


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【参考】
AVR機能は、UPS電源管理ソフトウェアPowerChuteのデータログ(Data Log)には記録されない
瞬時の電圧変動についてもUPS本体が電圧変化に応じて機能を有効にします。
このため、データログ上ではしきい値を超えていない場合にも動作が有効になります。

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