エネルギーマネジメントおよびオートメーションにおけるデジタルトランスフォーメーションのリーダーであるシュナイダーエレクトリックは、国外で展開中のピックアンドプレース作業のための産業用ロボットであるデルタロボットを、日本市場においても新たに販売開始することを発表しました。同社がモーション系ソリューションのカテゴリーブランドとして展開するLexium™(レクシウム)の製品として2種類のデルタロボットシリーズを投入し、2024年12月23日より提供を開始します。
図1:Lexium デルタロボット(左: Tシリーズ、右: Pシリーズ)
デルタロボットは、コンベアーなどの搬送ライン上を流れてくる部品や部材を掴んで指定場所へ移動させる、ピックアンドプレース工程を自動化するためのロボットです。労働人口減少が進み、生産効率の向上が大きな課題となっている日本の製造現場においては非常にニーズの高いソリューションでありながら、開発工数や初期投資などが導入のハードルとなり、食品・日用品製造など単価の低い商材の生産現場にはまだまだ手作業が多く残っている現状がありました。
シュナイダーエレクトリックは、1986年よりロボットソリューションの開発をスタートし、初期は包装機などに注力してきた背景から、欧州を中心に飲食品メーカーのニーズを多く取り入れた製品を展開してきた歴史を持ちます。今回日本市場で提供を開始するデルタロボットは、ロボットアームの素材として、従来採用されることの多かったカーボンに代わり、折れにくく水に強いステンレスを採用しており、破損時などに炭素繊維が飛散するリスクを解消しており、加えて本体を丸洗い洗浄できるIP56準拠モデルも完備するなど、飲食品製造の現場に導入しやすい条件をカバーしています。Tシリーズは2軸動作で可搬重量最大60kg、Pシリーズは3-5軸で可搬重量最大15kgにまで対応します。
また、シュナイダーのロボティクスソリューションの大きな特長は、複数台のロボットやリニア搬送システム、サーボモーターまで、1台のコントローラーでラインや装置全体のモーション制御を完結できる点にあります。通常は、ロボット1台毎や搬送システム専用など、装置やラインの規模に合わせて複数台のコントローラーが必要となり、コントローラー同士の通信環境の整備や、それぞれの動作を同期させるための複雑な制御プログラム、複数ソフトウェアでの設計作業など、開発工数の面で大きな負荷がかかっていました。シュナイダーのソリューションポートフォリオでは、複数ロボットやリニア搬送の制御を同社のコントローラー「PackDrive(パックドライブ)」1台に集約することができ、ロボットソリューション導入における制御開発工数削減、スピーディーな現場への導入に貢献します。
図2: 従来型制御と1台の統合コントローラーによる制御のイメージ比較